日本映画magazine



12月29日に。。掲載した。。武藤将吾さんのインタビュー記事。。
http://d.hatena.ne.jp/sanahanna/20091229/p40

発売直後で。。控えていましたが。。掲載してみます。。
( )内のこの色の文字のは私の言葉です。。

脚本の武藤将吾さん。。

ライターさん:現場の会見で小栗さんは4年前から映画の構想があったとおっしゃっていました。

武藤さん:小栗君が4年前というのは、彼が自分で脚本を書こうとして時期だと思います。もともと僕と彼が知り合ったのは04年の夏にやった深夜ドラマで、その時に僕の脚本を気に入ってくれたのがきっかけです。

で、翌年の暮れに小栗君から突然電話がかかってきまして、

2005年。秋の舞台「偶然の音楽」に、武藤さんが来て下さって。。楽屋で、「俺、本当にどうにか1本、映画化したい話があるんだけども、話を聞いて貰えないか。。」。。と話をしたら、武藤さんが「解りました。機会を作って2人で会おうよ。」。。と言って下さって。。

渋谷の居酒屋に入って開口一番、『役者も好きだけど、いつか映画も作りたいんです』と言われたんですよ。

彼が撮りたいと言っていたのは、ファンタジー色の強い男5人の青春物語で、魅力的な要素もあったけど、脚本家の視点からみたら、映画化するにはちょっと無茶な内容だったんです。
だから、僕には書けないって言ったら『じゃあ、今のは全部忘れて下さい。』って。

ライターさん:随分潔いですね。

武藤さん:そう(笑)。その後に『オレ、武藤さんの脚本が好きだけど普段は制約が入ってなかなか自由に表現できないじゃないですか。だから、そういう制限を取っ払った“武藤将吾の本気”が見てみたい』って言われたんです。

当時僕は29歳で、6歳下の若者にそんなことを言われたら黙ってられないじゃないですか。だから『じゃあやる』って(笑)。

ライターさん:武藤さんの心を動かしたのは小栗さんの熱意ですね。

武藤さん:そうですね。それで飲みながら、若い世代の俺たちが創る青臭い青春映画があってもいいんじゃないかって盛り上がって、僕も20代最後のオリジナルという意識を持って3カ月仕事しないでこれ1本だけに集中しました。


ライターさん:最初に書いた脚本はどんなお話ですか?


武藤さん:犯罪の要素が入った青春映画。実は日本にはあまりないなと思ったんです。若者の犯罪映画とはちょっと意味合いが違います。
例えばイギリスだと麻薬問題や貧困問題から起こる犯罪があって、そういう背景から若者の叫びが生まれてくると思うのですが、日本の若者は叫ぶ動機がないんですよね。そこで、敢えて、“平和ボケが生んだ傷”をテーマにすれば、今の若者に届くかなと思って。
さらにそこに、小栗君が当初やりたいと思っていた話のキーワードを散りばめていきました。


ライターさん:第1稿を読んだ小栗さんの反応は?


武藤さん:2006年の6月に原稿が出来上がってすぐに見せたら『もうこのままでも撮れます。』って言ってくれて。。

実は僕はその言葉で満足してしまって、この脚本に関しては完結していたんです。。

その直後に。。山本又一郎さんから。。「クローズZERO」の脚本を任せたいと。。

これであの脚本も報われたなぁという感じで。

だから「シュアリー」をやるって聞いた時は「え?!やるの?」っていう感じでした。。

今ってオリジナル脚本が世の中に出る機会がなかなかないじゃないですか。だから全然実感がわかなかった(笑)。しかも小栗君とは『若者のための映画だから、やっぱりミニシアター系だよね』なんて言ってたのに 気づいたら規模がとんでもなく大きくなっていて(笑)。まあ、そこが僕と小栗君を悩ませたところでもあったんですけど

最終稿が完成する前に小栗君に呼ばれて家に行ったら。。僕の前で彼がひとり芝居を始めたんですよ。全ての役を一人で演じて自分が言い辛いセリフとか演出しづらい部分を2人で修正していって。僕としては小栗君の一人芝居を独占鑑賞しているみたいで得した気分でした(笑)。
気づいたら彼と12時間もぶっ通しで本作りをしていて、朝方には、彼が『右目が開かねぇ!』と言い出したり、僕が『考え過ぎて目が回った』と気分をわるくしたり。今思えば2人で限界に挑戦した貴重な経験です(笑)

ライターさん:もはや忘れられない作品ですね。

武藤さん:そうですね。でも、脚本の改訂作業は本当にしんどかった。途中、小栗君と路頭に迷うこともあったり(笑)。けれど、彼は初志貫徹したというか、誰にも流されなかったから結果的に僕が3年前に書いたものに近い脚本になりました

でも改訂作業がなかったら、ただ、若者が騒いでいるだけの話になっていたかもしれません。だから、完成した脚本は、スタッフやプロデューサーと共に闘って出来た宝物だと思います

ライターさん:撮影現場はご覧になりましたか?

武藤さん:いつもはほとんど現場に行かないんですけど、今回は2回ほど行きました。小栗君は撮った絵をどうやって生かそうかと常に考えているみたいでした。
その姿は紛れもなく“監督”でしたね。実際現場では近寄りがたかったし(笑)。
普段は部屋に篭もって仕事をしているので、一つの作品にこれだけ多くの人が関わっているんだというのが肌で実感できて僕自身にとってもすごく貴重な体験でした。



ライターさん:完成が楽しみですね。


武藤さん:小栗監督の熱や想いが詰まったいい作品になると思います。

3年前(4年前ですね^^)『ここから全てが始まるんだ。わくわくするよね。』って渋谷の居酒屋で夢を語ってくれた時から、監督小栗旬は始まっていたんです。そして彼の気持ちは今も変わってなくて、むしろその想いは日に日に強くなっているんじゃないですかね。