13日付け『岳』記事。。


http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110513/ent11051307430006-n1.htm


http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY201105130299.html

人を助ける思い、山にもらった 「岳―ガク―」の小栗旬2011年5月13日15時23分

 マンガの主人公を、生身の俳優が同じように演じるのは難しい。山岳救助を描いた「岳(がく) みんなの山」(石塚真一著)の場合は特にそうだ。何しろ主人公の島崎三歩は、けがをした登山者を軽々と背負い、岩の壁をよじ登り、それでいて笑顔を絶やさないスーパーマンなのだから

 映画への出演が決まる前から「岳」を読んでいた。「三歩は、でかくて、いろいろなことを達観していて、マンガだからこそ成立するキャラクター。武骨なイメージもあったので、自分だとずいぶんきゃしゃだなあ、と。僕だと違う三歩になると思った」

 だが、努力は惜しまなかった。高いところは大の苦手で、登山は小学校の遠足以来。それでも、撮影前からクライミングジムに通い、伊豆の城ケ崎海岸や丹沢で特訓を受けた
その上達ぶりは、片山修監督がアイスクライミングの場面を追加したほどだ。体重も9キロ増やし、184センチの細身を山男に近づけた。

 ここ数年、テレビや演劇、さらに映画にも出ずっぱりだが、「ほかの映画とは何もかも違った」と話す。「山のロケでは、朝出発してから撮影まで3、4時間かかることもある。着いたら汗だくでメークからやり直したり、雪の上でただ寒さに耐えて出番を待つしかなかったり」

 山ではあれこれ考えず、三歩でいようとした。「自然と出てきたものでやろうと。出来上がりを見て、あ、俺ってこんな風に笑うんだなと改めて気付いたぐらい。山からもらったものはだいぶある

 ヒヤッとすることもあった。垂直の岩壁を登るシーンでは、2メートルほどズリ落ちた。「恐怖はすごいあったけど、やるしかない、と」

 公開前に東日本大震災が起きた。救助に携わる人々の姿は「岳」ともだぶる。「震災で僕らのできることは本当に少ない。でも、自然の脅威に立ち向かうのも人間で、そこで傷ついた人を助けるのも人間、そういうことはきちんと伝えている映画だと思います

 三歩の決めぜりふに「よく、頑張った」がある。助かった人にも、亡くなった人にもそう声をかける。すべてを包み込むような小栗のこのセリフは、マンガの三歩とだぶって見えた。(文・西田健作 写真・伊ケ崎忍)

おぐり・しゅん 1982年、東京都生まれ。ドラマ「花より男子」で人気を集め、07年の映画「キサラギ」「クローズ ZERO」に主演。10年には初監督作「シュアリー・サムデイ」が公開された。
蜷川幸雄演出の舞台にも多数出演。「岳―ガク―」では長澤まさみと共演している。
.