シネマの週末・この1本:宇宙兄弟 夢追う2人の青春物語


http://mainichi.jp/enta/news/20120427dde012070015000c.html


シネマの週末・この1本:宇宙兄弟 夢追う2人の青春物語

毎日新聞 2012年04月27日 東京夕刊


� 南波六太(小栗旬)と弟日々人(岡田将生)は幼いころ、UFOを目撃して2人で宇宙に行くことを約束する。19年後、日々人は約束通り宇宙飛行士になり、月に旅立とうとしていた。六太は上司ともめて自動車会社を解雇されたが、宇宙飛行士選抜試験の書類選考通過の知らせが届く。日々人が内緒で応募していたの

 月と地球。遠く離れた場所で、夢をあきらめない兄弟の物語である。無邪気なほど素直で兄を信頼する日々人、劣等感を持ちながらも弟を大切に感じている六太。大人になってからの2人はほとんど同じ画面の中にいない。同じ夢を追う兄弟の思いは、その遠い距離感と立場によって鮮明になり、より強く感情を揺さぶる。

 宇宙飛行士といえば相当なエリートのイメージだが、本作では気取りのないどこにでもいそうな2人として描く。六太が弟に先を越され、焦りながらも試験にチャレンジする姿には体感温度の上昇を感じる。宇宙の映画ではなく、青春映画なのである。六太が挑む6人での最終試験も、こむずかしい内容にせず、心の葛藤に絞って、ユーモアを交えて描き実に分かりやすい。宇宙の知識がなくても十分に入り込める。