小栗旬さん。。蜷川幸雄さん告別式・弔辞。。


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小栗旬「不安だから、こっそり夢でもしかりに来て」

2016年5月16日14時47分
スポーツ報知

 12日に多臓器不全で死去した日本を代表する演出家で文化勲章受章者の蜷川幸雄さん(享年80)の葬儀・告別式が16日、東京・青山葬儀所で営まれ、俳優の小栗旬(33)が弔辞を読み上げた。


 <弔辞全文>

 蜷川さん、昨日の晩、鋼太郎さんが、蜷川さんは台本を持つのが嫌いな人だから俺たち弔辞は読まずにいこうと言ったのに、今日、鋼太郎さんが読んでいたので、僕も読ませていただきます。

 僕がこんなところに立って、蜷川さんに何かを言うんだって。きっと、バカ小栗、お前に言われることなんてなんもねえよって笑われちゃいますね。考えたんですが、あまり堅苦しくても、くだけすぎても怒られそうなんで、なんとなくいきます。

 蜷川さん、どうします? 予定していた僕との公演。嫌われてる、俺も勝手に嫌って、仲直りしてもらって、やっと一緒にできると思っていたのに。あんなにしっかり握手もしたのに、約束したのに。悔しいです。

 蜷川さんと過ごさせて頂いた日々のことを、たくさん思い出していました。なんででしょうね。輝かしい思い出の日々のはずなのに、怒られたことばっかりが出てきます。本当にお前みたいな不感症とは2度と仕事したくない、へたくそ、単細胞、変態、あ〜君おじさんになったね、なんかデブじゃない?、デブだよ、デブ。なありえちゃん、そう思わない? ピスタチオみたいな顔…あぁ〜最後のは竜也に言われた言葉でした。

 もっとうまい文句もたくさん言われたんですけど、そのへんは右から左に流していたんで忘れちゃいました。

 先日もう会うことができなくなってしまった晩、いてもたってもいられなかった数人で集まり、蜷川さんとの思い出話に花を咲かせました。そのとき、やっぱり僕らは蜷川幸雄という人間を中心にした大きな劇団の一員だよね、という話しになりました。本当にそう思います。なぜならそれぞれが蜷川さんの優しさと気配りと、その後の思いやりを感じているからだと思います。




僕をこの劇団に入れてくれて、なんでみんな、小栗の格好よさにきづかないんだろうな。大丈夫、絶対俺が伝えてやるといって、見たことのない数々の景色に連れて行ってくれて信じてくれてありがとうございました。今僕がこの場所にこうやってたっているのは間違いなく蜷川さんの劇団の一員にしてもらったおかげです。



 まだ僕はちょっと若いので、会いに行くのは多分まだまだしばらくかかってしまうと思いますが、僕が会いに行くまでにそっちで新しいハムレットの演出を考えておいて下さい。その日に、ダメになったな〜、と言われないように、僕は僕で、こちらで苦しんでみようと思います。でも不安だから時々で良いからこっそり夢にでもしかりに来て下さい。待っています。休むのが嫌いな蜷川さんだったから、きっとゆっくりなんてしていないだろうけど、少しはゆっくり休んでください。僕の生意気をいつも受け止めてくれてありがとうございました。道を照らし続けてくれて本当にありがとうございました。