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小栗旬が“真似る”逸材!? 10代最注目の俳優、北村匠海って? | dmenu映画

小栗旬が“真似る”逸材!? 10代最注目の俳優、北村匠海って?

先物買いのイケメン好きなら、「仰げば尊し」や「鈴木先生」といったドラマでの生徒役、『陽だまりの彼女』(主演である松本潤の少年時代を演じた)や『ディストラクション・ベイビーズ』などの映画で、北村匠海のことはチェック済みかもしれない。また、ダンスロックバンド・DISH//のメンバーとして認識している方も少なくないだろう。そんな彼が、昨年、本屋大賞第2位に輝いた同名小説を映画化した『君の膵臓をたべたい』で、主人公の「僕」を演じる。10代の最注目俳優として、いよいよ真正面から頭角を現した。

イケメンなのに、リアルな素朴感

難病を抱えながらもそれを隠し、クラスの明るい人気者として振る舞っている女子高生・桜良。彼女は、なぜか地味な男子「僕」に声をかけ、秘密を打ち明ける。やがて、二人は男女を超えた絆で結ばれていく。

刺激的なタイトルとは裏腹に、さわやかかつ真っ当な青春映画である本作。いわゆる泣ける難病ものでも、ドキドキのティーン恋愛ものでもない。むしろ、地味で一途で不器用な思春期ストーリー。不安定な時期を送ったことがある人なら誰もが、静かにじわじわと共感できる好編だ。その感情移入の入口になる「僕」を、北村匠海は活き活きと演じている。

死ぬ前に、やりたいことをやっておきたい。そんな桜良に引っ張り回されながら、徐々に心が彼女に近づいていく様子を、北村は純朴に体現。静的な人間である「僕」の朴訥とした雰囲気が愛おしく思えてくるように、北村は演じている。イケメンぶりを抑制し、奥手の男子高校生のひたむきさを淡々と無理なく表現する彼の確かな演技があるからこそ、観客もグッとくるのだ。

文字通り、小栗旬の秘蔵っ子



(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C)住野よる/双葉社

この「僕」の12年後を、映画のなかで小栗旬が演じている。同じく7月公開の映画『銀魂』とはまるで違う雰囲気をかもしだしている。小栗特有のオーラは完全に封印されており、姿勢や歩き方まで工夫されているように思う。長身な印象がまるでない「僕」を見事に体現。存在感がなく、誰の目にも止まらないかもしれない教師役で、新境地を開拓している。

小栗は「僕」を演じる上で、北村匠海に寄せた演技を心がけたという。小栗と北村は縁が深い。小栗の監督作『シュアリー・サムデイ』には北村が出演しているし、小栗の主演作『TAJOMARU』では小栗の少年時代を北村が演じている。所属事務所も違うのに、これだけのリンクがあるのだから、小栗の秘蔵っ子と言っても過言ではない。

小栗は、「匠海くんであればこうしてくるのかな…」と想像しながら「僕」を演じたと明言。一方の北村は以前から「憧れの俳優」として小栗の名前を挙げており、小栗の主演ドラマ「信長協奏曲」にも出演している。そんな、なんとも微笑ましい相思相愛ぶりも、この映画に“いい風”を送り込んでいる。

本作で本格的なブレイク必至の北村匠海。15歳年長の大先輩、小栗旬とのエピソードからも明らかなように、「見守りたくなる」逸材である。

文/相田冬二@アドバンスワークス

2017年7月2日