『ミュージアム』。『るろ剣』大友監督が主演・小栗旬にこだわった理由
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10月28日8時00分
鬼気迫るものを感じさせる劇中カット - (C) 巴亮介/講談社 (C) 2016映画『ミュージアム』製作委員会
『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史監督が俳優・小栗旬と初タッグを組んだ映画『ミュージアム』が11月12日に公開される。大友監督が本作を引き受ける最終的な条件はただ一つ、「主演に小栗を迎えること」だった。それは小栗こそが本作の主人公をリアリティーを持って演じられる俳優だと大友監督が考えたからなのだという。
原作は、「ヤングマガジン」で連載された巴亮介の同名漫画。雨の日に残忍な殺人を繰り返す猟奇殺人鬼・カエル男と、それを追う刑事の物語だ。スキンヘッドで狂気を見せるカエル男役が妻夫木聡という意外性が大きな話題を呼んでいるが、主人公は小栗演じる妻子を持つ仕事熱心な刑事の沢村久志。実は、小栗の方も彼にとっては珍しい“等身大の役どころ”だった。
大友啓史監督 - (C) 巴亮介/講談社 (C) 2016映画『ミュージアム』製作委員会
小栗といえば『クローズZERO』や『ルパン三世』『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』など、人気漫画の実写化作品に数多く出演。実績をあげてきたが、本作で小栗が演じたのは同じ漫画原作モノでありながらそれらの作品とは異なるリアルなキャラクター。小栗自身も本作で等身大の役に挑めることに興味を持ったという
ではなぜ、大友監督はあえて小栗を指名したのだろうか。第一に小栗の演技を高く評価していたことはもちろんだが、大友監督は「幼い子どももいる小栗くんだから、父親の役もリアリティーをもって演じられるのではないか」と期待した。2012年に女優の山田優と結婚し、2014年には第1子が誕生、先月には山田が第2子を妊娠しており、私生活では家庭を持つ父親である小栗。そんな小栗だからこそ本役にふさわしいと考えたのだ。
大友監督の指示を聞く小栗 - (C) 巴亮介/講談社 (C) 2016映画『ミュージアム』製作委員会
原作を読んだ小栗は、「この主人公を演じるのが僕でよかった」とオファーを快諾。カエル男に精神的にも肉体的にもとことん追い詰められていく沢村刑事を熱演した。物語の終盤、カエル男の“スイートルーム”に監禁される場面の撮影は、川崎の体育館に建てられたセットの中で行われたが、小栗は川崎市内の小さなビジネスホテルに泊まり、撮影現場とホテルを行き来するほかは外出せず、寝ない、食べないという極限の状態で、1週間撮影に臨んだ。クライマックスシーンで見せる、やつれきった沢村の迫真の表情は、小栗の命がけの役づくりが生んだものだ。
また、走ってきた車にぶつかる、走る車から飛び降りるなどの危険なアクションシーンもできる限りスタントを使わずに自ら挑んだといい、大友監督のねらい通り、まさに小栗だから実現した圧倒的なエンターテインメントに仕上がっている。(編集部・小山美咲)